松井証券さんの「テスタの魔法株学校」という動画を見ていたところ、気絶投資法というものが登場してました。

決算またぎの流儀 松井証券 テスタの魔法株学校 #6より

気絶投資法について簡単に説明すると上記画像にも書いてある通り、購入した株をチャートなどを見ずにほったらかしにする方法です。


松井証券さんの動画では取引の悪かった点として気絶投資法が紹介されていましたが、いい点もあると思い調べてまとめました。

決算またぎの流儀 松井証券 テスタの魔法株学校 #6より

気絶投資法のメリット

①長期的な上昇相場に強い

下記図に示すのが2010年1月から2023年3月までの日経平均株価の推移です。
この期間の日経平均は上昇相場となっており、2010年の日経平均株価はおおよそ1万円付近でしたが、2023年には3万円付近を推移していおり、この期間に投資していた人は単純計算で3倍のリターンを得ることが出来ています。

2016年や2020年に日経平均が下げているような場面もありましたが、気絶投資法をしていた場合はこのような一時の下落を気にせずに利益を得ることが出来ます。

このように気絶投資法の最大のメリットは長期的な資産運用をする際に一時的な下落を気にしなくて済むというところだと思います。

松井証券さんの動画の企画のように短期で利益を出さなくてはいけない場面で気絶投資法を使うというのは悪手だったと思います。

②狼狽売りを防ぐことが出来る

狼狽売りとは一言でいうと、株価が急落した場合にパニック状態になってしまい、慌てて株を売ってしまうことです。

狼狽売りとは、何らかの材料(ニュース)や相場環境により、株価が急激に下落した際に心理的に混乱を生じてパニック状態に陥り、持ち株を慌てて処分(売却)してしまうことを言います。
株式投資は、多分に人間の心理に影響されることから、後から冷静に判断すれば何ら株式価値に影響を及ぼさないことであっても、市場の雰囲気にのまれてしまい、このまま保有すれば膨大な損失が生じるのではないかとパニックに陥り、一刻も早く処分(売却)して損失を最小限に食い止めようとする意識が働くことにより生じる現象といえます。
通常は、株価は数時間から数日で落ち着きを取り戻し、急反発して元の価格に戻るので、狼狽売りで株価が急落した時は、むしろ買い時といえますし、そのような時に買える投資家こそが株式市場で勝てる投資家といえます。
株式投資では、多数派と同じ行動をしていると儲けを出すことは難しいものです。いかに多数派が売る時に買い、多数派が買う時に売るかが株式投資で成功するコツといえます。まさに、「人の行く裏に道あり花の山」です。

気絶投資法を実施していればこのような一時の不安材料に影響されることなく、株を保持し続けることが出来るため、運用成績を良くすることが出来ます。

③亡くなった方や、運用しているのを忘れている人の方がいい成績を出している

下記ツイートによると亡くなっている方や、運用をしているのを忘れている人が運用成績がいいというのがあります。これがチャートを全く見ずにほったらかしにする気絶投資法にマッチしているという事があり、運用成績を良くできるとされています。

但し下記サイトによるとこの資料の根拠がないという事で、あくまで参考情報です。
「資産運用の成績が最も良かった人の属性は亡くなった方」というのは嘘、でもあながち間違ってもいない


気絶投資法のデメリット/注意点

①下落相場に弱い/短期的な取引には向いてない

先ほど日経平均株価は上昇トレンドと紹介しましたが、下降トレンドだった期間もあります。

下記図に示すのが1991年1月から2010年12月までの日経平均株価の推移です。


先ほどと打って変わって日経平均株価が下降トレンドになっています。
1991年ごろは2万5千円台だった日経平均が2010年付近では1万円付近まで落ち込んでいます。

もしこの期間に気絶投資法をしていたら資産が2/5程度に減ってしまうことになります。

メリットのところで紹介した通り、2023年では日経平均株価が3万円付近まで戻ってきているので、さらに10年くらい持っていれば多少の利益は出ているかもしれませんが、運用成績としてはあまりよくないと思います。

また、繰り返しになってしまいますが気絶投資法は短期的な株価の下落を気にしなくていいというのが特徴なため、長期の資産運用することが前提です。もし、短期間の運用するのなら気絶投資法はしない方がいいと思います。

②銘柄選定を間違えると悲惨なことになる/銘柄選定に時間がかかる

先ほども記載しましたが、気絶投資法は下降トレンドに弱いです。
なので、誤った銘柄を選んでしまうと資産が大幅に減ってしまうため、気絶投資法をやるのであれば慎重に銘柄を選定する必要があります。

長期的に上昇することが予想される銘柄(少なくとも長期的に下落する理由がない銘柄)や安定した配当がもらえる銘柄を選ぶといいと思います。

③気絶していても情報収集はしなくてはいけない

気絶投資法はあくまで株価を見ないというだけであって、完全にほったらかしていいというわけではありません。

保有している銘柄についての情報収集は常に行う必要があります。
特に保有している銘柄で不祥事があった際は注意が必要です。

最近の事例でいうと豊田自動織機の不祥事です。下記画像は2023年2月27日から2023年3月24日の豊田自動織機の株価です。


豊田自動織機の不祥事の詳細については下記記事を参照お願いします。
排ガス試験で不正、豊田自動織機がフォークリフト国内出荷停止

簡単に言うと国内で販売の9割を占めるフォークリフトが試験の不備によって出荷停止およびリコール対応が発生したというものです。

販売停止が売り上げに響くのはもちろんですが、リコール対応も費用が発生するため元の株価に戻るにはしばらく時間がかかると思います。

このような不祥事が発生した場合は長期的に株価が上がらないことが予想されるので、気絶しているのではなく、一度手放して不祥事が落ち着いた後に再度購入しなおすのがいいと思います。

(参考)フォルクスワーゲンの不祥事の場合

似たような事例として2015年に起こったフォルクスワーゲンの不正問題を取り上げます。
(こちらの方がフォークリフトより販売台数が多く影響度合いが違います。あくまで参考です。)

下記図がフォルクスワーゲンが不祥事を公表してから2023年3月現在の株価の推移です。


不祥事を公表前は160ユーロ付近でしたが、株価を公表した後は100ユーロくらいまで下がっています(不祥事公表から2週間程度で底値の100ユーロになってます。)

その後元の160ユーロ台にったのが2017年11月くらいなので、不祥事が発生してから2年くらいは影響を引きずっていたという風に考えらます。

ここで不祥事を公表したタイミングの株価を詳しく見てみましょう。
当時の記事を確認するとフォルクスワーゲンの不祥事が公表されたタイミングは2015年9月18日(VW排ガス 不正事件の衝撃より)なので、その近辺の株価を詳しく見てみます。

以下が不祥事公表タイミング付近の株価です。
不祥事公表の翌日に株価が161ユーロから133ユーロになっているため、30ユーロ程下げています。

不祥事翌日タイミングで売っていれば30ユーロの損失で済みますが、10月2日に101ユーロになっているため売るのが遅れてしまうと60ユーロ近い損失となってしまいます。

このような不祥事が発生するとしばらくは値段が下がることが予想されるため、なるべく損失を減らすために早く売って、問題が落ち着いて底値となったタイミングで再度買いなおすのがいいと思います。

まとめ

今回は気絶投資法について勉強してまとめました。
気絶投資法のポイントとして以下の3つが挙げらると思います。

①長期投資にしか使わない。
(短期で取引する予定で購入した銘柄で気絶投資法をするのはただの現実逃避)

②長期的に株価が上昇することが予想される銘柄を選ぶ

③気絶するのはあくまで株価に対してだけ。日頃の情報収集を怠ってはいけない。

参考サイト